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2023/02/06
ここ最近テレビの報道が増え、各種機関で注意喚起を起こすようになった「サポート詐欺」。実際に遭遇した方も多いのではないでしょうか。サポート詐欺とは
パソコンやスマートフォンでインターネットを使用中に突然「ウイルスに感染している」等の偽警告画面や偽警告音が出て、それらをきっかけに電話をかけさせ、有償サポートやセキュリティソフト等の契約を迫る手口 ~独立行政法人国民生活センターより~
このサポート詐欺は、閲覧者にウイルスに感染したと思わせ、それをきっかけに詐欺業者が閲覧者から様々な方法でお金を騙し取ります。ある程度のITに関する知識があれば簡単に回避可能で、サポート詐欺ページを冷静に見ていくと、偽の感染画面の日本語がおかしかったり、なぜかiTUNES等のプリペイドカードで支払わせたりと違和感を覚えます。この一連の流れを一歩引いて観ると、ある種の滑稽さもあり、ガジェット・IT系のYouTuberでは意図的に引っ掛かることで詐欺の実例を紹介したり、詐欺業者を逆におちょくりギャグを演出させたりと、この数年YouTube界隈では、エンタメのオモチャとして最早使い古された感もあります。
上記の動画は筆者がガジェット系動画で参考にしているYouTuber(パソコン修理屋の豆知識)。この動画ではサポート詐欺に実際に引っ掛かることで紹介しています。この事例の場合、
①ネット閲覧中に偽のウイルス感染画面が表示される(ポップアップ通知)
②ウイルス駆除のため記載の電話番号にかける
③電話サポートを受けるため無料の遠隔操作のソフトをインストールさせる
④有料セキュリティソフトを使用させるためプリペイドカードを登録させる
という流れでプリペイドカードを騙し取ります。別のパターンでは、上記③④でクレジットカードの番号を登録させる。スマホの場合、GoogleプレイストアやAppStoreで主にVPNなどの月額課金のアプリをインストールさせます。ウイルス感染の表示が出た際に、思い当たる節がなければ詐欺と判断がつきますが、過去のコラム「フィッシング詐欺に気をつけろ!」にも書いたように、アングラなアダルトサイトを閲覧している最中に遭遇すると、閲覧しているサイトがいかがわしいサイトなだけにパニックを起こして詐欺に引っ掛かるということが多く、特に近年では高齢の男性利用者から相談を受けることが多いです。
サポート詐欺は先述のようにプリペイドカードやクレジットカードの登録、ペイパルなどの国際的な決済システムで支払わせる、というように分かりやすくお金が絡む内容が多いですが、中には大手セキュリティソフトのアフィリエイトとして業者が用いることがあります。アフィリエイトとは、インターネット広告の手法の一種で、サイトやブログの運営者は、企業から提供される広告を掲載し、その掲載した広告経由で売上が発生すると、売上の一部を報酬として受け取れる仕組みです。具体的には、アフィリエイトを用いたサポート詐欺を見てみましょう。ウェブサイトを見ていると以下のような偽警告(ポップアップ通知)が出てきます。
有名ウイルス「トロイの木馬」が検出されたと通知が出現し、削除するために「OK」か「Cancel」どちらかを要求されるので、OKを選択すると…
大手セキュリティソフト「ノートン」の偽ページが現れ、PCやスマホがウイルスに感染していないか勝手にスキャンされます。あくまでもこれは偽物のため実際には問題ありませんが、自動スキャンが終わると お使いのPCは5つのウイルスに感染していると通知されます。そうすると別サイトに自動転送され…
転送されたサイトは、ノートンの公式サイト。しかも購入画面になります。URLを見ても分かるようにセキュリティソフトのノートンの公式ウェブサイトです。本物。流れをまとめると
① 最初のトロイの木馬に感染したという偽警告(ポップアップ通知)
② セキュリティソフト「ノートン」を名乗る偽ウェブサイトで自動スキャン
③ 公式サイト「ノートン」の購入画面(本物)
ウイルスに感染したと勘違いして③で本物のノートンのソフトを購入してPCやスマホにインストールとなりますが、実際にウイルスに感染しているわけではありません。感染していないのでセキュリティソフトのノートンを起動しても正常な状態と判断されますが、購入者はインストールした「おかげで」ウイルスが駆除されたと思い込み、詐欺に遭ったという感覚がありません。またアングラなアダルトサイトを使っている際に発生したというある種の自責の念で「助かった」としみじみ安心することになります。
このように大手セキュリティソフトを商材でアフィリエイトをしている業者や個人は、偽警告から引っかかった閲覧者がセキュリティソフトを購入することで広告報酬を得ていきます。アフィリエイトはブログやまとめサイトに閲覧者を集めて広告報酬を得るパターンが多いですが、酷いパターンだと先述した詐欺広告を使用します。スマホの普及でITに疎い世代が否応にもスマホに触れざるを得ない時代。電話をかける、ラインやメールを送る、といった初心者が次にブラウジング(ネット検索すること)やYOUTUBEを覚えて初心者を脱却し、スマホになんとなく慣れて便利と思った矢先にサポート詐欺に遭遇します。その偽警告を漠然と詐欺に関するものと感じ取れればいいのですが、アダルトサイトを閲覧中に遭遇してしまうと、一定数の人がコロッと引っかかってしまいます。筆者の体感としてサポート詐欺は60代以上の男性が引っかかるイメージがあります。
アダルトサイト以外にもウイルスに感染したという偽警告は出てくるものなので、対策として基本的に無視すること。発生したら戻るボタンで一個前の画面に戻る、戻れないならそのページそのものを閉じる、閉じれないなら本体を強制終了させる(PCならタスクマネージャーから強制終了がベスト)。また偽警告は広告として分類されるために広告ブロックアプリを使えば、遭遇率がグッと減るのでおすすめです。
最後に一つ、皆さまにお伝えしたいことがあります。パソコンやスマホでウイルスに感染したから家に来てほしいという相談をよくいただきますが、スマホPC初心者やこのブログ記事をナルホドと思っている方のIT知識だと本当のウイルスに感染した場合、おそらく感染した事実に気が付かないと思います。例えばファイルの復元のため金銭を要求するランサムウェアに感染したなら、PCに明らかな異変を感じ取ることができますが、日常のスマホやPCの使用用途がYahooのトップ記事を見る、YOUTUBEを見る、ネットで調べ物をする程度ならまず本物のウイルスに感染する確率は相当低く、感染してもウイルスは秘密裏に活動します。2000年代前半のセキュリティ水準なら確かにウイルスに感染する確率は高いためにセキュリティソフトを入れておくことがベターでしたが、現在の高いセキュリティ水準において、日常使いでウイルスに感染したという警告が出たら基本的に偽物と思っていいでしょう。スマホ初心者の皆さんも変な警告画面が出たら、冷静になって対処してください。客観的にそれを見ると結構笑える要素が多く、なんでこんなものに引っかかるのかと思えるようになりますよ。